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田口ランディの小説『縁切り神社』に出てくる「安井金比羅宮」は、こんな所!
2007/01/31
 物語の中で、独特の精神世界を刺激的に展開する田口ランディさん。男女を問わず、人気の彼女の作品の中に『縁切り神社』という短編小説があります。
 物語は、主人公の水野季実子が「京都の町をそぞろ歩いていたら、奇妙な神社に迷い込んだ」ところから始まります。この「奇妙な神社」が、実は祇園の界隈を抜けたところにある「安井金比羅宮」のことです。

 「縁切り神社」として知られる神社に迷い込んでしまった季実子は、そこで、実名を挙げその人物との縁切りを祈願する無数の絵馬を見ます。ある特定の人との絶縁を願ったものや、第三者がカップルの別れを願ったものなど、生々しい執念の数々を目の当たりにし、不気味に思いながらも興味を惹かれる季実子。しかし、彼女はその中から、誰かが自分と元彼との別れを祈願した絵馬を見つけてしまいます…。

 物語では、人々の憎悪が渦巻くおどろおどろしい神社のように書かれていますが、実際に行くと、そのような印象は受けません。「病気と縁が切れますように」「禁煙できますように」などといったものの方が圧倒的に多く、むしろ明るく爽やかな雰囲気です。

 小説では絵馬にスポットが当てられていますが、この神社でぜひ注目して欲しいのは「縁切り縁結び碑」という大きな石です。穴があいた石の周りには、「悪縁を断ち切り、良縁に結ばれますように…」などと書かれたおびただしい数の御札が貼られており、石の原型はわからないほど。まずこの石の穴を表からくぐって悪縁を断ち切り、裏からくぐって良縁を引き込みます。その後あらかじめ願いを託した御札を石の周りに貼ると良いとのこと。穴はそれほど大きくはなく、辛い体勢になるにもかかわらず、週末は数人の女性がくぐる順番を待つため、石のまわりに謙虚に並ぶ光景が見られます。

 主祭神の崇徳天皇が、讃岐の金刀比羅宮で一切の欲を断ち切り、お籠もりされたことから、断ち物の祈願所として信仰されてきた「安井金比羅宮」。けれども良縁に結ばれた夫婦やカップルが訪れても、縁が切れることはないとのことなのでご安心を。

(データ)
●田口ランディ/たぐちらんでぃ(1959−)
 『縁切り神社』『コンセント』『アンテナ』『モザイク』『できればムカつかずに生きたい』など
●安井金比羅宮
 京都市東山区東大路松原上ル下弁天町70
 (四条河原町から四条通を東へ徒歩15分、東大路通を南へ徒歩10分。または市バス206系統北大路バスターミナル行き「東山安井」停より南へ徒歩約1分)
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